はじめに – 「ワイルドカードって何?」
Excelでデータを取り扱う際、目的の情報を探し出すために検索や抽出といった作業は頻繁に行われます。そんな時に、「ワイルドカード」という言葉を目にすることがあるかもしれません。他の記事でその存在を知り、「ワイルドカードって一体何だろう?」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ワイルドカードとは – 検索のジョーカー
ワイルドカードを日常生活の例で例えるなら、トランプの「ジョーカー」のような存在です。ジョーカーは、他のどのカードの代わりにもなる特別なカードですよね。検索の世界におけるワイルドカードも、これと似たような役割を果たします。つまり、特定の文字や文字列の代わりとして機能し、あいまいな条件での検索や抽出を強力にサポートしてくれる便利な機能なのです。
Excelで活躍する2つの主要なワイルドカード
Excelの世界では、主に2種類のワイルドカードが活躍します。それは、「アスタリスク (*)」と「クエスチョンマーク (?)」です。これらの記号を検索条件に含めることで、部分的にしか情報が分からなくても、目的のデータを見つけ出す手助けをしてくれます。
例えば、商品名の一部分しか覚えていないけれど、その商品を探したい場合。あるいは、特定のパターンに合致するデータだけを集計したい場合など、ワイルドカードは様々な場面でその力を発揮します。
この記事でわかること
この記事では、Excelで利用できるこの2つの主要なワイルドカードの種類と意味、そしてそれらが具体的にどのような場面で活用できるのかを丁寧に解説していきます。また、ワイルドカードを使用する上での注意点もご紹介することで、より効果的にワイルドカードを使いこなせるようになることを目指します。
Excelで使える2つのワイルドカード – 役割と具体的な使い方
Excelであいまいな条件での検索や抽出を実現するために主に使われるワイルドカードは、アスタリスク (*) とクエスチョンマーク (?) の2種類です。それぞれの役割と具体的な使い方を詳しく見ていきましょう。
アスタリスク (*) : 0文字以上の任意の文字列
アスタリスク (*) は、0文字以上の任意の文字列を表すワイルドカードです。これは非常に強力で、文字数に関わらず、どんな文字列にもマッチします。
具体的な例:
商品*: 「商品」で始まるすべての文字列にマッチします。- 例:商品A、商品B123、商品コードXYZ など
- 注意:単に「商品」という文字列にもマッチします(0文字以上の任意の文字列なので)。
*食品*: 「食品」という文字列を含むすべての文字列にマッチします。- 例:健康食品、加工食品ABC、こだわり食品 など
- 注意:前後に何もなくても「食品」という文字列だけでもマッチします。
A*Z: 「A」で始まり、「Z」で終わるすべての文字列にマッチします。間の文字数は0文字でも構いません。- 例:AZ、ABZ、A123Z、AIUEOZ など
検索対象のデータ例:
| データ | 商品* | *食品* | A*Z |
|---|---|---|---|
| 商品A | ○ | × | ○ |
| 商品B123 | ○ | × | × |
| 健康食品 | × | ○ | × |
| 加工食品ABC | × | ○ | × |
| AZ | ○ | × | ○ |
| A123Z | ○ | × | ○ |
| 食品 | × | ○ | × |
| ABC | × | × | × |
| 商品 | ○ | × | × |
クエスチョンマーク (?) : 任意の1文字
クエスチョンマーク (?) は、任意の1文字を表すワイルドカードです。アスタリスクとは異なり、必ず1文字にマッチし、文字がない場合にはマッチしません。クエスチョンマーク (?) の数によって、マッチする文字数を指定できます。
具体的な例:
商品?: 「商品」の後に任意の1文字が続く文字列にマッチします。- 例:商品A、商品1、商品- など
- 注意:「商品」だけではマッチしません。
??支店: 任意の2文字の後に「支店」が続く文字列にマッチします。- 例:AB支店、12支店、-a支店 など
- 注意:「A支店」や「ABC支店」はマッチしません。
データ_?: 「データ_」の後に任意の1文字が続く文字列にマッチします。- 例:データ_1、データ_a、データ_- など
検索対象のデータ例:
| データ | 商品? | ??支店 | データ_? |
|---|---|---|---|
| 商品A | ○ | × | × |
| 商品12 | × | × | × |
| AB支店 | × | ○ | × |
| 12支店 | × | ○ | × |
| データ_a | × | × | ○ |
| データ_12 | × | × | × |
| 商品 | × | × | × |
| A支店 | × | × | × |
| ABC支店 | × | × | × |
ワイルドカード自体を検索したい場合のエスケープ
もし、アスタリスク (*) やクエスチョンマーク (?) そのものを検索したい場合は、ワイルドカードとしての特別な意味を打ち消す必要があります。そのために使用するのが「チルダ (~)」です。チルダをワイルドカードの直前に置くことで、その文字は通常の文字として扱われます。
具体的なエスケープの書き方:
~*: アスタリスクそのものを検索します。~?: クエスチョンマークそのものを検索します。
エスケープが必要な具体的な検索例:
- 商品名に「*特価*」という文字列を含む商品を検索したい場合:
*~*特価~** - 型番が「ABC?DEF」という形式の製品を検索したい場合:
ABC~?DEF
エスケープを使用しないとどうなるか:
エスケープせずに *特価* で検索すると、「特価」を含む任意の文字列にマッチしてしまい、「*特価*」という文字列そのものを探すことはできません。同様に、ABC?DEF で検索すると、「ABC」の後に任意の1文字が続き「DEF」で終わる文字列にマッチしてしまいます。
ワイルドカード使用時のその他の注意点
半角文字であること
Excelのワイルドカードは、半角のアスタリスク (*) と半角のクエスチョンマーク (?) でなければ認識されません。全角の「*」や「?」を入力しても、ワイルドカードとしては機能しないため注意が必要です。
大文字・小文字の区別
ワイルドカードを含む検索で大文字・小文字が区別されるかどうかは、使用する関数や機能によって異なります。
- FIND関数: 大文字・小文字を区別して検索します。
- SEARCH関数: 大文字・小文字を区別せずに検索します。
- VLOOKUP関数: 通常、大文字・小文字を区別しません。
- SUMIF関数: 通常、大文字・小文字を区別しません。
- フィルタ機能: 設定によって大文字・小文字を区別するかどうかを選択できます。
使用する関数や機能の特性を理解しておくことが、意図しない検索結果を防ぐために重要です。
ワイルドカードが活躍するタイミング – 頻繁に使う関数で解説
ワイルドカードは、Excelの様々な関数や機能と組み合わせて使うことで、その真価を発揮します。ここでは、特に利用頻度の高いSUMIF関数におけるワイルドカードの活用例とその際の注意点について解説します。
想定するデータ表:
| A | B | C | |
|---|---|---|---|
| 1 | 商品カテゴリ | 商品名 | 売上 |
| 2 | 食品A | りんご | 100 |
| 3 | 食品B | バナナ | 150 |
| 4 | 家電C | テレビ | 50000 |
| 5 | 食品A | みかん | 80 |
| 6 | その他D | 文房具 | 50 |
| 7 | 食品B | いちご | 120 |
| 8 | 家電A | ドライヤー | 3000 |
| 9 | 家電C | 冷蔵庫 | 80000 |
また、以下のセルに検索条件が入力されているとします。
- D1セル:
食品
SUMIF関数での利用
SUMIF関数は、指定した条件に合致するセルの値を合計する関数です。条件範囲でワイルドカードを使用することで、特定のパターンに合致するデータを集計する際に非常に便利です。
基本的な仕組み:
SUMIF関数は、「範囲」内で指定した「検索条件」に合致するセルを探し、「合計範囲」にある対応するセルの値を合計します。この「検索条件」にワイルドカード(\* または ?)を使用することで、部分一致に基づいた集計が可能になります。
具体的な業務シナリオ例:
1. 特定のカテゴリで始まる商品の売上合計を計算する(数式に直接入力):
商品カテゴリ列(A列)には “食品A”、”食品B”、”家電C”、”家電A” などがあり、「家電」カテゴリの売上(C列)を合計したい場合、検索条件に "家電*" というワイルドカードを使用します。
数式例:=SUMIF(A:A, "家電*", C:C)
この数式では、A列の “家電C” と “家電A” で始まる行のC列の売上が合計され、結果として 50000 + 3000 + 80000 = 133000 が得られます。
2. 特定のカテゴリで始まる商品の売上合計を計算する(セル参照):
D1セルに「食品」と入力されている場合に、商品カテゴリ列(A列)が「食品」で始まる商品の売上(C列)を合計したい場合、検索条件でセル参照とワイルドカードを組み合わせます。
数式例:=SUMIF(A:A, D1&"*", C:C)
この数式では、D1セルの値である “食品” にワイルドカード * を結合した "食品*" が検索条件となり、A列の “食品A” と “食品B” で始まる行のC列の売上が合計され、結果として 100 + 150 + 80 + 120 = 450 が得られます。
注意点:
- 条件範囲と合計範囲: SUMIF関数では、「条件範囲」と実際に値を合計する「合計範囲」を正しく指定する必要があります。ワイルドカードは「条件範囲」で使用され、合致した行に対応する「合計範囲」の値が合計されます。
- 全角・半角: 条件として指定するワイルドカードは半角である必要があります。また、検索対象のデータとの全角・半角の違いにも注意が必要です。
まとめ – ワイルドカードを味方につけて、Excel検索をよりスマートに
この記事では、Excelにおけるワイルドカードの基本的な概念から、具体的な使い方、そして頻繁に利用するSUMIF関数での活用例を見てきました。
ワイルドカードは、アスタリスク (*) が0文字以上の任意の文字列を、クエスチョンマーク (?) が任意の1文字を表すという、たった2つの記号で構成されています。
しかし、これらを使いこなすことで、あいまいな情報しかない状況でも、目的のデータを効率的に検索、抽出、そして集計することが可能になります。
特にSUMIF関数との組み合わせでは、カテゴリの一部が分かっている商品群の売上をまとめたり、特定の商品名を含む商品の売上を集計したりと、ビジネスの現場で非常に役立つデータ分析が可能になります。
数式に直接検索条件を記述する方法だけでなく、セル参照と組み合わせることで、より柔軟な分析にも対応できることをご紹介しました。
ただし、ワイルドカードを使用する際には、半角文字で入力すること、そして全角文字との違いによる誤検索に注意する必要があります。これらの点に留意することで、ワイルドカードはあなたのExcel作業をよりスマートで効率的なものに変えてくれるでしょう。
ワイルドカードを上手に活用し、Excelでのデータ処理能力をさらに向上させて、日々の業務に役立ててください!



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